美瑛の丘の心象風景  おもちゃ屋さん日記

美瑛の丘の上にある 小さなおもちゃ屋さんからの物語

ラファエロ展 その1 友人のいる自画像




       仕事で上京した折に、必ず見たいと思っていたラファエロ展。
       念願かなって、今日観てきました。


       10年前にドイツ・ドレスデンを訪れた時に
       初めて見たラファエロ。
       所狭しと並ぶ絵の中で
       そこだけ輝いて見えた衝撃を、今もはっきり覚えています。



       今回の目的は、有名な「大公の聖母」ではあったのですが
       別の絵に釘づけになりました。
       それは、この「友人のいる自画像」







       こちらを指差し、刀に手をかけている男
       それを制するように後ろに立っているのがラファエロ自身です。
       前に居るのが誰なのかは未だ分からないのだとか。



       この絵の前にどれぐらい立っていたのでしょうか、
       僕には刀を持つ男が、もう一人のラファエロに見えてきました。



       作品を描く時、ラファエロの心の目は表面だけでなく、
       きっと対象の内面の血や骨までも映していたはずです。
       いえ、それより更に切り込んで心までも顕わにしていたと思うのです。
       「どうする、もう少し切り込むか?」
       刀を手に微笑んで尋ねる彼は
       描く対象の表面を削ぎ落とし、本質を見出す役だったのではないでしょうか。


       その彼の肩に手を置き、モデルを見つめるラファエロ。
       「まぁ待て、もう少し描く」
       「よし、行け!」
       何度も何度もそんな指示を出しながら
       仕上げていったと思うのです。





       病によって37歳で世を去った天才ラファエロ。
       最後に描かれたという自画像の前で
       彼の魂に触れた気がしました・・・






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