思いがけない来客がありました
亡くなった父の古くからのご友人。
なつかしい話に時を忘れ
外の景色もいつしか夕暮れに・・・
さぁそろそろ帰ろうかという時に
紳士の目に留まったのは、電話の横の赤い小さなガラス球
「おーーーこれは僕が職人に作らせた、特別なもんだよ」
小さなガラスのオブジェに話が咲きます。
「宝物は自分で持っているよりも どんどん人にあげるもんだなぁ
その人が、自分よりもよっぽど大切にしてくれる」
大きな会社を経営し、
後進に自分の持てるものを注ぎ込んだ
紳士の生き方そのものです。
夕日の光は
天にまっすぐ伸びて・・・
「また、ゆっくりお話ししましょう」
ガラス球を手に乗せて
にこにことしたお顔でそう言うと
紳士は帰ってゆかれました。